2011年11月10日

FPフォーラムの住宅相談 3/3

 
・・・ FPフォーラムの住宅相談 2/3 の続きです。


3組目は、事業を営んでいる40代の男性の相談でした。

自己資金にもある程度余裕があり、
現在は親御さんと同居しているとのことでしたが、
3人のお子さんの内、一人が障害を持っているとのことで
自分の会社のすぐ横の土地に自宅を新築して
何があってもすぐに自宅に駆けつけられるようにしたいとのことでした。

一応、住宅ローンの組み方や税金の優遇制度(贈与税の非課税制度など)
を知りたいという理由で相談に来られたのですが、
お話を聴いていると、、、
実の親御さんとの関係をとても気にされている様子が感じられました。


ご自身が長男ということもあり、
親が住む家ではなく、別のところに家を構えてしまうと、
最終的に両親とも亡くなったら、その家を継ぐ者がいなくなることを
とても気にかけているようでした。

資金計画を楽にするために親御さんから生前贈与を受けようにも、
別のところに家を新築したいということになると、
どれぐらいの贈与が受けられるのか、あるいは全く受けられないのか
何とも言えないということでした。

確かに、世の親御さんの中には、
自宅を継いでくれると思っていた長男が他の土地で新築するときに
どうしても納得がいかなくてあまり応援しないケースもあります。
(足を引っ張ろうとする親御さんもいるぐらいです。)

しかし、関係が良好な親子の場合だと、
最終的には応援する側に立ってくれることも多いものです。

特にこの男性の場合、
違う土地で住宅を構えたい理由が、
障害を持ったお子さんのため・・とはっきりしていますから、
年老いた親御さんの理解も、比較的得やすいような気がしました。

そこで次のようにアドバイスさせていただきました。


  両親が住んでいる家を最終的にどうするかは、
  その時になってみないと分からないことも多いものです。
   (別の兄弟が住むケースもあります。)

  ましてや今はまだ、両親ともお元気なのだから
  そんな先のことは考えずに、
  自分のお子さんにとって、そしてご自身にとって
  一番いい方法をとってあげてください

  そしてあなたの考えを、ご両親にしっかりと伝えてください。

  あなたの親御さんならきっと、あなたの考えを理解してくれて
  きっと応援する側に回ってくれるはずですよ。
  がんばって伝えてくださいね。


自信はなさそうではありましたが、
「とにかく親にまず相談して伝えることにします」と言って
会場を後にされました。


同じ子を持つ親として、この方の気持ちはよく理解できました。
またとても優しい方でもあるので
ご両親が暗黙の上で期待していること
(自分たちの住む家を継いでほしい)もわかるだけに
そのジレンマに苦しんでいるようでした。

まずはご両親に伝えることによって、
きっと全てがいい方向に向かうと信じております。


★今日のテリー語録

「案ずるより・・・、まずは伝えてみる。」

私もそうなんですが、、、、(^_^;)
「相手を怒らせたくない」、「自分もイヤな思いをしたくない」という恐れの気持ちから
一番早く伝えるべき相手になかなか言い出しにくくて、伝えられないことがあります。
でも、伝えるタイミングが遅くなればなるほど、
かえって相手を怒らせてしまうかもしれません。
ですから、勇気を奮って伝えてみてください。
きっと全てが好転するはずですよ。(^o^)

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2011年11月09日

FPフォーラムの住宅相談 2/3

 
・・・ FPフォーラムの住宅相談 1/3 の続きです。


2組目は、30代の男性の相談でした。

すでに購入する土地も、建てる住宅会社も決まっているとのことでしたが、
住宅ローンについてはどのような組み方がいいのか、
またどの程度の返済額(月額)であれば返済可能なのかが知りたいという相談内容でした。

住宅会社の営業マンからのアドバイスや
ご自身でもインターネットでのシミュレーションなどを利用して
しっかりと細かく調べているのが印象的でした。

よくファイナンシャルプランナーのアドバイスで
「借りられる金額ではなく、『 返せる金額 』で組みましょう」
といわれていますが、
「実際にどのぐらいが、『 返せる金額 』なのか?」
という目安は、どこにも載っていないのが現状です。

その方の状況や考え方によってもいろいろと変わってくる部分ではありますが、
私が考えた『 返せる金額 』の目安をお話ししましょう。


1. 返済比率を下げてみる。

返済比率 = 年間の返済額 / 年収(税込) × 100 (%)

たとえばフラット35の基準で言うと、
年収400万円未満では30%以下が借りられる金額です。
年収400万円の人であれば、年間返済額120万円(月々10万円)未満になるわけです。
(けっこう多いですね〜。)

ですから返済比率がこの基準よりも5〜10%程度低いパーセンテージにするのです。
具体的には、年収400万円の人であれば返済比率20〜25%に抑えておくことになります。


2. 主人の年収だけで借りられる金額にしておく

これは夫婦共働きの場合に使われる方法です。
女性は、出産や子育て、(場合によっては介護など)により
通常通りの働き方ができないこともあり得ます。

ですからそれをあらかじめ見越して、
主人の年収だけでローンを組める金額を上限にしてしまうのです。
もちろん、実際に組むときは、奥様を連帯債務者にすることによって
住宅の所有権の一部は奥様になりますし、住宅ローン控除を受けることもできます。


3. ボーナス分を抜いた年収で借りられる金額にしておく

今となっては言うまでもないことかもしれませんが、
ボーナスは所詮ボーナス、会社の業績が悪ければゼロになる可能性も否定できません。
ですから、あらかじめボーナスがゼロの状態でも返せるように
ボーナス分を抜いた年収で借りられる金額を上限にします。
もちろんボーナス併用払いではなく、月々の支払いだけでローンを組んで下さい。


4. 過去3年で一番低かった年収で計算する。

これは年収が年によって大きく変わるお仕事の場合ですが、
過去3年(もしくは5年)で、
一番少なかった年収で借りられる金額を上限にしておくと
気持ち的にも余裕ができるかと思います。

もちろんそれよりも年収が多いときには、
繰上返済を利用して早めに借入残高(元金)を減らすようにすると、
今後の年収の変動にも対応しやすくなりますね。


この男性の場合は、とてもよく調べられていたので
1.の返済比率と、2.の主人の年収だけで借りられる金額のお話をしました。

第三者の意見、そして専門家の見解が欲しかったとのことでしたので、
いくらか安心された様子で帰っていきました。


・・・ FPフォーラムの住宅相談 3/3 に続く。


★今日のテリー語録

「“何”を持って、安心しますか?」

これは客観的な指標の問題ではないので、たいへん難しい問題かと思います。
でも、「自分が“何となく・・”できそうだ」と思えるときは
ほぼ確実に神様の援護を受けられるときですから
安心して進んでいけばいいと思いますよ。(^o^)

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2011年11月08日

FPフォーラムの住宅相談 1/3


先週末に行われた、「FPフォーラム in いしかわ」。

午後からは一般向けの講演も行われましたが、
私は同時開催の無料相談会の会場におりました。

今回は3組の相談を受けることになりました。


まず1組目は、30代のご夫婦の相談でした。

「建てたい土地は決まっているのですが、住宅会社までは決まっていないので
 まずローンを組んで土地を押さえた方がいいのか、
 それとも住宅建築の時期まで土地購入を待った方がいいのでしょうか?」

ある程度の住宅資金をお持ちのようでしたが、
現在考えている土地の価格までは届かないようでした。

午前中の青木先生の研修を意識しながら、
このご夫婦に様々な質問を投げかけてみました。

夫婦ともに、その土地がいいと思っているのであれば、
とりあえず押さえた方がいいと思ったのですが、
どうやら奥様の方はそれほどその土地に固執しているわけでもなさそうです。

また住宅会社の方は全く見て歩いていないとのことでしたので
どうやらご自身の「理想とする家」そのもののイメージも
まだ漠然としている様子も見て取れました。

しかし、受け答えなどを聴いていると、、、
とても堅実でしっかりしたお考えをお持ちであることも分かってきたので
次のようにアドバイスさせていただきました。

「今考えている土地が自分たちの理想の土地だと思えるのであれば
 ローンを使ってでもその土地を購入すればいいのですが、
 それほどのことでもないようなら、住宅を見て歩きながら
 あらためて土地を探してみるのもいいでしょう。
 きっと理想とする土地が見つかりますよ。」(^o^)

ものごとにはそれに適したタイミングがあります。
それは単純にその人の年齢や年収、子供の年齢などで自動的に出るものではありません。
周囲の応援も含めて、様々なことがスムーズに流れ出すタイミングが来るのです。
私は勝手に、「『神様の助け』を借りやすくなるタイミング」と呼んでいますが、
住宅を見て歩きながら、そのタイミングを待つのも良さそうな気がしました。

このご夫婦の場合、ご主人は明らかに「買いたい!」モードでしたが、
奥様とその親御さんが軽くブレーキをかけているようにも見えました。
まあ、その土地に固執する必要もないですし、
奥様の言葉が一番真実を伝えているように見えました。

「その土地もいいけれど、万一売れたとしたらその土地には縁がなかったわけですし、
 すぐに別のところで、『理想の土地』が現れると思うんです。」

私もそう思います。(^o^)


・・・ FPフォーラムの住宅相談 2/3 に続く。


★今日のテリー語録

「神様のタイミング」

一生懸命にやっているのに、なかなか結果が出ない、あるいは前に進まないとき、
ひょっとしたら、神様が一番うまくいくタイミングを計っているのかもしれません。
あせらずに、そしてあきらめずに地道に続けていきましょう。
必ず「神様の助け」が最高のタイミングでやってきますよ。

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2011年05月26日

オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン その3

 
・・・ オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン その2 の続きです。


ところが、そのヒアリングシートを一切使わない方法もちゃんと存在します。

それが、オープン・クエスチョン形式のヒアリングです。
それこそお医者さんが患者さんと接するように質問していきます。

「どんな家にしたいですか?」 
「家にいるときは、どのように過ごしていますか?」

かなり大雑把な質問ですが、
それによってお客様は自由に話すことができます。
また、人間の特性として、一番関心の高いところから話すことになりますので
その方が「何に関心を多く持ち、どの部分を重視しているか?」
・・がわかりやすいのです。

ただし、下手をすると、
お客様の自由な話を聞くことに終始してしまい、
「この空間はいらないのかな?」
「この部屋の広さはどのくらいがいいのだろう??」
・・と肝心なことを聞き忘れてしまうこともありますが、
その辺りはご愛敬、、、(^_^;)
プランニングを進めながら、さらにイメージを膨らませていけばいいのです。


ちなみに私の場合は、
ヒアリングシートのような質問紙の形式は嫌いでした。

確かに間取りを作るときはヒアリングシート(質問紙)があった方が
間取りを作る上で必要な要素が抜けにくくていいのですが、
なぜか流れ作業的で、お客様の事情や価値観もすぐには見えないので、
あまり好きではなかったのです。

ただし、その場でいきなりお客様に自由に話してもらう・・といっても
住宅の場合は範囲が広すぎて、なかなか難しいものがあります。

そこで、あらかじめA4のコピー用紙やノートなどに
お客様が思い描いているような家の要望やイメージを書いてもらい、
それを見ながらこちらから質問を繰り返すようにしました。

書き方はあえてフリーとするようにして、
何から書いてもいいことにしました。

ただし、条件として、絵や間取り図そのものは外してもらいました。

これには理由がありまして、ヒアリングには必ず設計者を同席させますが、
設計者は間取り図そのものを見てしまうと、
そのイメージが一瞬にして、脳裏に焼き付く傾向があるため
自由な発想が邪魔されるからなんです。

とにかくお客様の言葉をどんどん書き込んでもらうことで
そこから設計者に新たな発想と提案を考えてもらうのです。

そうして設計された図面は、
お客様自身が想像もしなかったような、
大胆な間取りや動線になることも多いので、
ちょっとしたサプライズになるのです!!

驚きながらも、うれしそうなお客様の顔を見ると、
提案する私たちの間にも、素敵な感動が訪れるのです。

このような素敵な家作りをぜひ、
多くの人たちも味わっていただけたら・・と思っております。(^o^)


★今日のテリー語録

「お客様のことを考え続けた“時間”と、“密度”。。。」

オープン・クエスチョン形式のヒアリングには、かなりの集中力が必要ですし、
最初のプランができるまでは、本当に大きなエネルギーが必要ですが、
お客様の顔の“輝き”を見ると、全ての苦労が報われるのです。

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2011年05月25日

オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン その2

 
・・・ オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン その1 の続きです。


注文住宅を作る場合、
最初にお客様(業界では「施主」(せしゅ)といいますが。)から、
何かしらの要望を聞き取り、それに従って間取りを起こすところから始めます。

この聞き取りのことを「ヒアリング」と呼ぶこともありますが、
要望の聞き取りをどのように行うかによって間取りがガラッと変わるのです。


まず、ヒアリングシートと呼ばれる質問紙を使う方法の場合は、
クローズド・クエスチョンの形式を取ります。

あらかじめ質問内容が並んでおり、
その選択肢も同様に与えられています。

たとえば、「必要な部屋数」という質問項目があったら、
□ 寝室 、 □ 子供部屋 、 □ 和室 ・・・
という選択肢が並んでいます。

またそれぞれの広さとして、
□ 3〜4.5帖 、 □ 6〜8帖、 □ 8〜10帖 ・・・
という選択肢が並ぶような感じです。

お客様はそのヒアリングシートに書き込むことで
自分の要望を住宅会社に伝えるわけですね。


この方法は、間取りの作り手にとって、非常に楽な方法です。

なぜなら大きさの違いがあっても、
だいたい3LDK(LDK+寝室+子供部屋2)か、
4LDK(LDK+寝室+子供部屋2+和室)あたりに落ち着くからです。

これなら、他の要素を考える必要があまりないので
私のように設計の専門でなくとも、間取りを作ることができます。
間取りを作る時間も大幅に短縮できますね。

いわゆる大手ハウスメーカーさんや
ローコスト系の住宅会社さん、地元の工務店さん辺りは
このようなヒアリングシートを活用して、
時間の短縮を行うことが多いようです。

ただし、あらかじめ用意した質問項目に落とし込むことに終始するため、
その質問項目にないようなお施主さん自身が持つ悩みや心配事、考え方などは、
どうしても抜け落ちていく傾向があります。

結局のところ、家族が違っても似たような間取りに落ち着くため、
つまらない家の間取りになることが多いような気がします。


・・・ オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン その3 に続く。


★今日のテリー語録

「質問項目を固定するのは、“発想”を固定すること。」

せっかくの注文住宅です。
家作りの“発想”そのものまで固定化してしまうのは、
もったいないような気がします。。。

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2011年05月24日

オープン・クエスチョンと、クローズド・クエスチョン その1


カウンセリングや聞き取りの際に出てくる言葉に、
「クローズド・クエスチョン」(closed question)と、
「オープン・クエスチョン」(Open question)があります。


クローズド・クエスチョンとは、
「 YES or NO 」とか、あるいは
「 A or B (・・or C )」など、
2者択一、あるいは複数の選択肢から選ぶなど、
返答が単語一つですむ質問の仕方です。

たとえば、「あなたは今日、朝食を食べましたか?」とか、
「あなたは結婚していますか?」などですね。


それに対して、オープン・クエスチョンは、
大雑把な質問の仕方です。

たとえば、よくお医者さんで聞かれるような
「今日はどうされましたか?」
・・・のように、患者さんに自由に話させる質問方法です。

こちらは、答える側も「どう話そうか・・?」と、
かなり頭を使うことになりますし、かえって無言になる可能性もあります。
質問をした側にしても、どんな答えが返ってくるか全く予想がつかないので
かなり高度な質問方法といえるでしょう。


一見すると、クローズド・クエスチョンの方が、
「 YES or NO 」もしくは、
あらかじめ選択肢が用意されている分だけ
答えやすいような気がしますし、
質問する側も、返ってくる答えがある程度予想できるので
対応がしやすいというメリットがあります。

その反面、答えが単調になりやすく
あらかじめ用意されたシナリオ通りに誘導されやすくなります。

さて、このような質問方法の違いをなぜ話したかといいますと、
この質問の違いによって、家の間取りがガラッと違うからです。

その理由を次回以降にお話ししますね。


・・・ オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン その2 に続く。


★今日のテリー語録

「誰に話させるのか?」

クローズド・クエスチョンだと、質問された方はほとんど話す必要はなくなります。
反対にオープン・クエスチョンだと、質問された方がどんどん話すことになります。
どちらの方がより深く要望を聞き取ることができるでしょう?

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2010年12月07日

クレーム探し。。。その3

 
・・・ クレーム探し。。。その2 の続きです。


では、お客様に“クレーム探し”をさせないためにはどうすればいいのでしょう?

これは業者さん側にいえることなのですが、
最低限、これだけはしてください。

「トラブルが発生したときは、まず自分たちの非をすぐに認め、
 すぐに対応策を取ることです。」

こう書くと、、、必ず次のような反論を受けます。

「施工ミスでもないのに、なんで謝らなきゃいけないんだ!?」
「素材の特性なんだし、他の家もそうなっているんだから・・。」
「施主が何も知らないのが原因なのに・・・。」

ハイ、言い分はわかります・・。
でも、施主様にしてみると、いきなりそれを言われたら、
ほぼ確実に責任逃れをしているように聞こえるんですよね〜。(^_^;)

なぜなら、施主様の言うことにいきなり反論することは、
施主様の言い分(思い、不安、相談諸々)を一切受け止めず、
跳ね返すことになるからです。

まず、しなければならないことは
施主様の思ったことや不安の中身をよく聞いてあげることです。

もちろん、施主様も業界の人間ではないのですから、
いきなり、「さあ、話してください!!」といっても
黙り込んだまま、なかなか話さない人もいると思います。

そんな時のために、魔法の言葉があります。

「事前の説明が不足してしまい、誠に申し訳ございません。」
「お客様に不安を与えてしまって、申し訳ございません。」

最初にこのように言って、しばらく待っていると・・、
たいていのお施主様は、いろいろな思いを一気に話し始めます。

一般的にコミュニケーションというと、
「話す」ことばかりに関心が行ってしまいがちですが、
実はコミュニケーションの基本は、
「話す」ことではなく、「聞く」ことなんです。

そして、聞いている間は、一切反論することなく、
ひたすら頷いてあげると、施主様も話しやすくなると思います。

そして、十分に聞いた後で
「なぜそうなったのか?」という仕組みなどをお話しすればいいのです。

ある程度、自分の思いや考えを話された施主様は、
今度は業者さんの言い分も、「落ち着いて」聞いてくれます。

そして、お施主様が落ち着いて聞いてくれるなら、
その後の対処法や解決方法なども、一緒に考えられるような関係になっていきます。
その後は、一つ一つ丁寧に確認を取りながら、前に進めていけばいいかと思います。

たとえ、業者側のミスであったとしても、
丁寧に話を聞いてくれて、誠実に対応してくれる業者であれば、
ほとんどのお施主様は、
「いろいろあったけど、よい家が建ちました。
 本当にありがとうございました。」
と評価してくれるはずです。


逆にしてはいけないのは、
他人のせいにしたりお客様のせいにして工事そのものを続け、
原因や責任の所在などをうやむやにして、建物だけを完成させてしまうことです。

これをやってしまうと、ほぼ確実にお客様との間にシコリを残し、
最終金の支払いでもめたり、クレーム探しをされてしまったり、
挙句の果てには、憶測も含めた悪い評判を立てられてしまうでしょう。

業者さんにしてみれば、
工事そのもので苦労をした上に、次々と出てくるクレームに
「ひょっとしてクレーマーなんじゃないか!?」
「最終金を払いたくないだけなんじゃないか!?」
と思って、疑心暗鬼になる瞬間もあるかもしれません。

でも、それは施主様にしても同じことです。
「ひょっとしたら、自分たちが知らない間に手抜きをされているのではないか?」
「35年ものローンを払い続けるマイホームが欠陥住宅だったら・・?」
と不安で仕方がないのです。

そんな施主様の不安を和らげることも
これからの住宅会社や業者さんに求められていると思います。

勇気を持ってしっかりと話を聞いてあげてくださいね。
それこそが、双方にとっても無益な“クレーム探し”をさせない
唯一の手段ではないでしょうか。


★今日のテリー語録

「性善説を信じて、相手の言うことに耳を傾けてください。」

施主様がクレーマーだと思い込みながら、あるいは、
住宅会社が悪徳業者だと思いながら、お互いの言い分を聞いても
決して良い関係にはならないでしょう。
「私たちと契約してくれたお客様だから。」、「私たちが信頼した会社だから。」
と、お互いに“善意の相手”であることを前提に、
話を聞いていくだけでも、自ずと道は開けてくると思います。

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2010年12月05日

クレーム探し。。。その2

 
・・・ クレーム探し。。。その1 の続きです。


ここで、言いたくはないけれど、事実を言わなければなりません。

みなさんが今住んでいる家、あるいは建築中の家は、
厳密に言うと、、、
必ずしも完璧な水平でもなければ、完璧な垂直でもなく、
直線のように見えるところも、直線ではありません。
また、直角のように見えるところも、厳密には、直角ではありません。

「エッ〜〜〜〜!?」という声が聞こえてきそうです。
でも、間違いなくその通りです。

正確に言うと、ある誤差の範囲内に収まっているだけなのです。
もちろん、この誤差は、どの業界でもあります。

ただ、建築の場合は、家を完成させるまでの間、
施主様が自分で確認できるということと、
モノが適度な大きさなので、割と簡単に調べることができるからです。

例えば、携帯電話の中を開けて、クリアランスの寸法を一々測る人はいないでしょうし、
車のエンジンルーム内で、ボルトの位置が0.1ミリずれているからといって、
苦情を言う人もいないと思います。

それらは機能的には、全く問題がないからです。

住宅も同様で、
家全体での床の不陸度合いが、プラスマイナス3ミリぐらいだったら
ボールが転がることもありませんし、戸が閉まりにくくなることもないでしょう。

また、ボルトの位置が他の部材を避けるために何ミリかずれていたとしても、
ボルトの機能としては何の影響もありません。

むしろ、天井なんかは意図的に少し真ん中を持ち上げて施工するぐらいです。
また、引き戸の鴨居も同様です。
つまり、、、水平ではないんですよね。

でも、機能的には全く問題がないどころか、
むしろ必要なことだったりします。

他にも、室内やサッシの引き戸は閉めた状態でも、
必ず(1ミリ以上の)クリアランスが設けてあります。

このクリアランスがないと、引き戸の開け閉めができなくなりますし、
わずかな砂やホコリが噛んだだけで、カギをかけることすらできなくなってしまいます。


しかし、これらを測られて、
「水平じゃないなんて、おかしい!!」
「まっすぐじゃないのがおかしい!!」
「すきまが空いているのはおかしい!!」
と言われても施工した側は困ってしまいます。

そして、その家に住んでいるお客様自身も
「自分の家は欠陥住宅なんだ・・・。」と
誤解したまま、自虐的に住み続けていくことになり、
それこそ、不幸そのものといえるでしょう。


住宅の建築には、様々なトラブル発生が予想されるので
必ずしも解決が簡単なものばかりではないでしょう。

でも、せめて、自分が住む家ぐらいは、
「やっぱり我が家が一番!!」といえるようになりたいですね。


・・・ クレーム探し。。。その3 に続く。


★今日のテリー語録

「信用していたのに・・・。」

クレーム探しをしてしまうお施主様は決まってそういうのですが、、
その割には、なぜか、、、
「契約したときから、何かおかしいような気がしたんです!!」
と、着工前からクレーム探しをする人もいるようです。
つまり、最初から信じていなかったことになると思うのですが・・、いかがでしょう??
やはり、本気で相手に託すことを決めたときに、契約するのが一番だと思います。

 
posted by テリー at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 住宅カウンセリング

2010年12月04日

クレーム探し。。。その1

 

私がかつて営業職だった頃、よく他のスタッフに言っていたことがあります。
「お客様に“クレーム探し”をさせるようなマネをしてはいけない。
 なぜなら、お互いに決して幸せにはならないから・・。」


ここでいう“クレーム探し”とは、
「施主様が、自分が建てた家に納得できず、
 ひたすらその家の欠陥を探し続けること」です。

まだ家を建てていない方が読めば、
「なんでそんなことをするのか?」
・・全く理解できないことだと思います。

でも、、、建築の業界ではあり得ることなのです。
たとえば、建築中に何かトラブルが発生したとします。

その時、ユーザーである施主様は、
その原因が、住宅会社にあるはずと思い、
その原因究明と解決策を、住宅会社の現場監督や営業に求めます。

まあ、ここまではどの業界でもある話です。

しかし、そのトラブルが直しようのない場合や、
悪い部材を交換しても、再発することが容易に予想できる場合、
(素材の特性によるものとか・・・。)
あるいは、単なる担当者のヒューマンエラーの場合、、、
担当者によっては、次のような言葉で逃げる場合があります。

「建築はこんなもんですよ・・。」
「予算が少々足りなかったので・・・。」
「施工した職人の技量が足りなかったので・・。」
・・・などなど。

そして、その解決策を求められると・・、
「部材の交換をすると、工期が間に合わなくなるので・・。」
「直すためには、多額の費用がかかります。」
「どの家もこんなもんですよ。」
「訴えたければ、訴えてもいいですよ。」
「もう手遅れです。」

そうやって、安易な言葉だけでその場を収めようとするのです。
しかし、そんな言葉でだませるほど、施主様もバカではありません。

「他にも、欠陥や手を抜いているところがあるのではないか?」
と思い、そして、
「住宅会社の責任を絶対に認めさせてやる!」
と、自分が住むはずの家の悪そうなところを
徹底的に調べていくのです。

すると、、、
調べれば調べるほどに、欠陥住宅の証拠(・・・のように見えるもの)が見つかり、
うまく施工されているところまで、どんどん“欠陥”のように見えてきます。

欠陥住宅を押しつけられた(・・と思っている)施主様は
その恨みを晴らすために、住宅会社を徹底的に追求していきます。

しかし、住宅会社にしてみれば、そもそも欠陥住宅を作っていないわけですし、
素材の特性が原因であれば、自分たちに原因があるわけでもないので
「『タチの悪い客』に関わってしまった・・」とばかりに、
自分たちのお客様を攻撃する側に回ってしまうのです。


・・・ クレーム探し。。。その2 に続く。


★今日のテリー語録

「なんで、こんなことになったのだろう・・・。」

大きなトラブルや、訴訟にまでなってしまうようなことでも、
元を辿ると、たった一つの小さなミスや説明不足が原因だったりします。
でも、そこから生まれた「不信感」という“化け物”は、
やがて、誰にも止められなくなるほど、大きく成長してしまうこともあるのです。

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2010年07月05日

隣で工事が始まって困っています・・。

 
    DSCF6038a.JPG


今まで担当したお客様から何度か似たような相談を受けたことがありました。

それは、隣でいきなり始まった新築工事に関することで、
隣に入った施工会社の工事がズサンだというものでした。


● 施工している職人が勝手に隣である私の敷地に入っている。

● ゴミや空き缶がこちらにまで飛んできている。
● タバコの吸い殻がこちらの敷地にポイ捨てされている。
● 外壁が汚された。
● 窓ガラスに飛散したセメントの粒がついている。
● 工事の前にあいさつや案内が一切なかった。
● 家の中や洗濯物がほこりっぽくなった。
● 工事車両がこちらの駐車スペースの前に止めたままだったので、出かけられなかった。
● 音や振動がひどくて、子どもを寝かしつけることができなかった。


「なるべくなら、ご近所の人と仲良くやっていきたい。」という思いや、
「クレーマーだと思われたくない!!」との思いが強かったため、
「少々のことなら・・・。」と、ガマンし続けた結果、
かえって何も言えないような状況が続いていたようです。。。


対処法としてはまず、隣の施工会社の現場責任者(いわゆる現場監督ですね。)に、
「困っている内容」をはっきりと伝えてください。

もちろん、施工会社によっては、現場監督が頻繁に来ないケースもあるので、
その場合は、施工会社の事務所に電話で連絡を入れると、
たいていその日か翌日には、現場監督が謝罪に来ると思います。

現場監督が来たら、謝罪を受け入れた上で、
具体的な困りごとを現地で一つ一つ、いっしょに確認してください。

そして、困りごとがあまりにも多い場合は、
今後の対応策を書面で提出してもらった方がいいかと思います。

例えば・・・、「職人が勝手に隣に入る」困りごとに対しては、
「やむを得ず敷地に入る場合は、その都度了承を得ること」。

ゴミの散乱や、外壁の汚れ防止のためには、「防護ネットを設置すること」。(上の写真)
汚れた外壁や窓に対しては、「1ヶ月以内にクリーニングを入れること」などなど・・。


ただし、騒音の問題に関しては、
工事を進める上でどうしても避けられないものなので、
月曜〜土曜の朝8時から夕方6時など、常識的な範囲内であれば
目をつぶるしかないかと思いますが、
騒音の出る工事が深夜にまで及ぶ場合は、しっかりと伝えた方がいいですよ。

残念ながら・・・、(^_^;)
悪気はないけれど、ちょっとズサンな工事会社はけっこういますので、
元請けである住宅会社の現場監督さんにしっかりと伝えて対応してもらってくださいね。


★今日のテリー語録

「お互い様だからね・・。」

私たちが近隣のあいさつ回りをしていたときに、時折言われることがありました。
この言葉を聞くと本当にホッとしたものです。
もちろん、この言葉にとことん甘えるわけではなく、
そう言っていただけたお隣のご厚意を裏切らないように
よりいっそう細心の注意を払うように心がけていました。

今日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
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posted by テリー at 21:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 住宅カウンセリング
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