2009年07月03日

シックハウスはなくなったの?? その3

2003年の建築基準法改正で、24時間計画換気が義務づけられることを知った当時の私は、
「自然素材住宅なら、そんな必要もないのに、これは国の横暴だー!!」
・・などと憤っていました。

でも今となっては、当時の自分の無知さ加減がよくわかります。。。

一般に自然素材としてクリーンなイメージのある珪藻土も、そのままでは施工できないため、
かなりのつなぎ(化学物質)が添加されている商品ですし、
自然素材系の断熱材にしても化学物質を混ぜた立派な工業製品です。
また無垢のフローリングにしても表面の塗装から、やっぱり化学物質などが放出されます。
和紙クロスにしても手作業で作るわけではないので、化学的な溶剤が使われたり、
施工時の接着剤は普通のクロスと同じものが使われたりしています。

自然素材住宅といえども、やっぱり「現代の建材」で作られているわけです・・。

そうなると、自然素材と呼ばれるものを使ったとしても、
やっぱりシックハウスを防ぐことは難しそうです。

さらに厄介なのは、安価なホルムアルデヒドは
実に様々な商品の接着剤・塗料として使われていることです。
たとえ内装仕上げに使う建材の方でいくら厳しい規制をしても、
電気製品の内部に使われる部品や溶剤、そして外装に至るまで使われています。
細かいことを言えば、照明器具やコンセントのプレートからも微量ながら出てきます。

そして、家具類がもっとすごいです!!

一応、住宅に備え付けられる造りつけの家具も規制対象なんですが、
どうしても接着剤や塗料を多く使うため、測定してみるとやはりホルムアルデヒドが出てきます・・。

備え付けでない家具、つまり、お客様がどこかの輸入品屋さんで買ってきた輸入品の家具なんかは、
全く規制されていない分、バシバシ出てきます!!
輸入品のベッド1台だけで、厚生労働省の基準値0.08ppmを楽に超えたものもありました。
他にも、お客様持込のカーテン1組で基準値を超えたため、やむを得ず再検査したこともありました。

それ以外に、新築時となるとどうしても家電製品などを買い換えることが多いと思いますが、
新品のテレビ、冷蔵庫、洗濯機などからもけっこうな数字が検出されてしまいます。
フローリングの上に敷くラグやじゅうたんなども同様です。

他にも、鞄や靴、家庭の日用品(芳香剤、防虫剤、洗剤、シャンプー、養毛剤など、)のほとんど
・・といっていいぐらい、本当に様々なところでホルムアルデヒドは検出されてしまいます・・。

これらのすべてを足していって、基準値の0.08ppmを超えたとしても、もはやどうしようもありません。

また、ホルムアルデヒドだけでもこの状態です。
ノンホルムの商品を購入したところで、結局は代替品の接着剤を使っているに過ぎません。
健康被害が確認されてから規制するのでは、どうしても手遅れになりがちです。

そういう状況下においては、もはや徹底した換気以外に、有効な手段はありません。

一番手っ取り早いのは、窓を2箇所以上開けることですが、
住む人の気分と自然の風任せでは、あまりにも心許ないですし、
冬場やエアコンを使う夏場は、まず窓を開けることもないでしょう。

そうなると24時間計画換気をすべての住宅に義務づける・・しかありません。
結局、苦肉の策だったのだと思います。
そして、もっとも効果的な方法でもあります。


★今日のテリー語録

「24時間計画換気の電源だけは絶対に切らないでください。」

現代の高性能な住宅が、室内の安全性を守るために選んだ手段が
『換気』というもっとも原始的な方法というのも皮肉なものです・・。


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posted by テリー at 20:01| Comment(0) | TrackBack(0) | シックハウス

2009年07月01日

シックハウスはなくなったの?? その2

 
クロルピリホスという防蟻剤(シロアリ駆除剤)をご存知でしょうか?

2003年の建築基準法改正で使用禁止になった、有機リン系の防蟻剤(農薬)です。
最近では、中国産の冷凍食品や野菜からも検出されて話題にもなりました。

実は、このクロルピリホス、ほんの10〜15年前ぐらいまではとってもメジャーな防蟻剤でした。
1960年代にアメリカで開発されましたが、本国でも製造禁止になったのが2000年なので、
比較的最近の出来事であることがよく分かると思います。

現在の防蟻剤にはクロルピリホスは一切使われていません。
これもやはり代替品の化学物質が使われています。
製造メーカーさんや取扱業者さんによると、『安全』だそうです。

しかし、クロルピリホスもシロアリにはよく効くけれど、
沸点が320℃と非常に高く、常温では揮発しにくいため、
使用量を守れば、人間には問題なさそう・・ということで使われ続けました。

でも・・、沸点が100℃の水が常温でもみるみる蒸発していくのと同様に、
クロルピリホスも実験の結果、散布方法や気密方法を変えても室内への残留が認められたことから
建物への使用が全面禁止になった・・経緯がありました。

現在使われている防蟻剤も正直言って分かりません。

今でもシロアリ駆除剤をまいた後、
「住んでいる人が気分が悪くなった・・。」とか、
「駆除した後の家に入れない・・。」などの報告はやっぱりあるそうです。

例えば、新築したばかりのみなさんの家に使われた防蟻剤が、15年後に
「発ガン性や脳の発達障害などの健康被害が見つかったので、使用禁止になりました。」
・・・ということも可能性としては、十分あり得ます。


それでも「白アリが怖いし、やっぱり防蟻処理をしないと・・。」という人もいるでしょう。

みなさんが信用している防蟻剤ですが、実はそんなに長く効くものではありません。
防蟻剤自体も揮発するので、効果のほどはだいたい数年程度です。
加圧注入剤(緑色の木材)にしても、築10年程度でシロアリ被害に遭っているものも珍しくはありません。

特にクロルピリオスが使われなくなってきたここ10年ぐらいは、
シロアリが以前よりも早い段階で見つかるようになってきました。

私が今まで聞いた中で、一番早かったのは築3年の住宅!!、
そして、よく聞くのが築5〜7年の住宅でした。
(もちろん、すべての家で新築時に防蟻剤が使われていました。)
つまり、薬剤の効果がなくなってくると、かえってシロアリが寄生しやすくなるようです。

使われていた木材がシロアリが好む柔らかくて湿気に弱い樹種が多いことも影響していますし、
特に薬剤を加圧注入する場合は、柔らかい木の方が内部に浸透しやすいことも影響しているようです。
つまり、防蟻剤を使ったところで、いずれはシロアリの被害に遭う可能性がやっぱりあるのです。

しかし、その一方で世界で一番古い木造建築物「法隆寺」があるのも、この日本です。
また法隆寺以外にも、築年数が数百年クラスの寺院や木造建築物はいくらでも残っています。

もちろんこれらの建物には、化学的な防蟻剤は使われていませんが、
先人たちの知恵や創意工夫、適切なメンテナンスによって、
シロアリを遠ざけてきたことになりますね。

例えば・・・、

・土台などの床下周りに、ヒノキの心材など防蟻性の高い材料を使っている。
・人が通れるぐらいの高床式にして、床下の通気性を確保している。
・建物の床下や周囲の水はけをよくして、湿気の影響を最小限にしている。
・屋根の軒を深くして建物に直接雨がかからないようにしている。
・建物のすぐそばに木を植えない・・・など。

「ヒノキさえ使っていれば、絶対安心です!!」などと言うつもりは全くありませんが、
安易に防蟻剤(毒)をまき散らさなくても、先人の知恵を活かしながらシロアリを遠ざける方が
長い目で見ると、かえって「安全な家」になるような気がいたします。


★今日のテリー語録

「疑わしきは、使わない。」

たとえ、現在のところ『安全』と言われているものであっても、毒には違いありません。
現在使われている防蟻処理剤が、「第2・第3のクロルピリホス」にならないことを、
心から願うばかりです。

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posted by テリー at 11:12| Comment(0) | TrackBack(0) | シックハウス

2009年06月29日

シックハウスはなくなったの?? その1

一時は社会現象にもなったシックハウスですが、
2003年(平成15年)の建築基準法改正によって大きな規制をかけられるようになりました。

具体的には・・、
1.内装材に関して、ホルムアルデヒド発散建築材の面積制限(F☆☆☆☆の推奨)
2.クロルピリホス(シロアリ駆除剤)の使用禁止
3.24時間計画換気の義務化 


1.のF☆☆☆☆(「フォースター」と呼びます。)とは、
ホルムアルデヒドの放散量を等級で表したもので、
F☆は内装材としての使用が禁止され、F☆☆とF☆☆☆は使用面積の制限を受け、
最上位であるF☆☆☆☆は、無制限に使用できます。

そんなわけで、住宅会社さんによっては、
「当社は、F☆☆☆☆の建材しか使用していませんから、本当の健康住宅です。
 シックハウスなんてあり得ません!!」
・・と自信を持って言われるところまで出てきます。

本当にそうでしょうか?

確かにシックハウスの報告が急増し始めた15年前(1994年頃)に比べれば、
ホルムアルデヒドの放散量は相当減っています。
それでも・・、実測している専門業者さんに聞くと・・、
厚生労働省の基準である0.08ppmを超えている家も意外と多いそうです。

それと現時点で規制されているのは、あくまでホルムアルデヒドだけです。
それ以外のVOC(揮発性有機化合物、例: トルエン・キシレンなど)は、
建築基準法においては何の規制もされていません。

15年前との違いとして、内部に使う建材も今ほどバリエーションはありませんでしたし、
結果として、新建材を使う箇所も今よりは少なかっただろうと思います。

しかし、現在の家作りは工法に関係なく、新建材が様々なところに使われています。
低コストで見た目をよくするため・・とはいえ、確実に15年前よりも多いのが現状です。。

そして、新建材はなにかしらの接着剤を使います。
以前ならその主要な成分が安価なホルムアルデヒドでした。
今は・・?、ホルムアルデヒド以外の化学物質(代替品)を使う羽目になっております。

ですからF☆☆☆☆の建材でも、VOC(揮発性有機化合物)の量を測ると
とんでもない数字が出てくるケースも多々あります。

特に多いのが、キッチンなどのキャビネット類や、現場で作られた造作家具類、収納内部など。

これらの特徴は、(製品の性格上、やむを得ないのですが・・。)
・接着剤を多用している。
・見映えや傷つき防止のために塗装やコーティングが何層にも施してある。
・ふだんは扉や引出が閉まっているため、内部の空気が循環しない。

いずれにせよ、換気がしにくい箇所は、どうしても数字が高めに出てくるようです・・。

参考までに、厚生労働省が濃度指針値を定めているのは現時点で13物質ありますが、
その中で、建築基準法で規制されているのはホルムアルデヒドと、
クロルピリホス(シロアリ駆除剤、使用禁止)のみです。

住宅性能表示で濃度を測定できるのは6物質のみ、それ以外は特に規制されていません。
また、ついでに言うと、13物質以外にもシックハウスの原因になりうる物質はあるそうです。

つまり、、、
建築基準法で内装仕上げ材のホルムアルデヒドを規制したぐらいでは、
シックハウス対策としては、不十分なのです!!

そのせいでしょうか・・?
最近新築された家でも、玄関に入った瞬間、目がチカチカする家もやっぱりありますねー。
(もちろん、この辺りの感じ方は、個人差もあるのですが・・。)


★今日のテリー語録

「すべてを法律で規制することはできません。」

特にシックハウスに関しては、その症状の現れ方に個人差が大きいこともあって
全部が全部、規制対象にはできないのが現状です。
そして、建築基準法は必要最低限の規制だけを明示したものに過ぎません。
結局は、各自が自分で判断することになるのです。

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posted by テリー at 17:01| Comment(0) | TrackBack(0) | シックハウス
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